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やきもの用語




「あいうえお」

あおおりべ(青織部)
・織部焼の一種。緑釉を器の一部に掛け、残りの部分に鉄絵と透明釉が加えられたもの。

あからく(赤楽)
・楽焼の一種。赤色の発色は、胎土の鉄分によるもので、透明の釉を掛け低火度で焼く。

あながま(穴窯)
・古窯の一形式。山の斜面を掘り、天井だけを築いた窯。多くは単室で、天井に差木孔が設けてある。

あぶらげはだ(油揚肌)
・黄瀬戸の一種。小さなざらつきをもつ肌が、油を薄く塗ったような、あぶらげのような肌合い
 をしていることからこう呼ばれた。油揚手のこと。

あぶり(焙り)
焼成のなかで、火入れからおよそ900℃くらいまでの段階のこと。

あまくさとうせき(天草陶石)
・熊本県天草市下島の西北端の海岸付近から採れる石。可塑性があり、アルカリや珪酸を
 適度に含むので、単味で磁土となりうる。また、釉としても使用される。

あめゆう(飴釉)
・茶渇色に発色する鉄釉。長石に酸化鉄や酸化マンガンを加えたもの。

ありた(有田)
・佐賀県西松浦郡有田町のこと。もしくは江戸時代以降、この周辺で焼かれる磁器の愛称(いまり)

いが(伊賀)
・三重県伊賀市周辺で焼かれた焼締陶。白い肌合いに掛かる青ビードロ釉や石はぜが特長。

いこみ(鋳込み)
・石膏などの吸収性を利用し、型をつくり、そこに泥漿を流し込んでつくる成形方法、
 ロクロでは不可能な器形を可能にする。

いちごうゆう
(一号釉薬)
・長石に、陶土や珪酸分、そして石灰石を調合した石灰透明釉の一つ。石灰石が少ない一号釉は、
 熔解温度が1280℃と高く、染付けや青白磁などの磁器に向き、陶胎には1230℃の3号釉が広く
 用いられる。


いっこびき(一個挽き)
・一つの土の塊りから一つの器を挽く成形方法。

イッツチン
・竹筒や金属製の嘴口が付いた錐状の袋に入った泥漿を、器面に描いていく技法。筒描ともいう。

いまり(伊万里)
・佐賀県西松有田町周辺で焼かれる磁器の総称。文禄・慶長の役の時に帰化した朝鮮の陶工・秀参  平が有田・泉山で原料を発見し、日本で最初の磁器を製造したと言われてきた。伊万里の名は、
 江戸時代に伊万里津を経て船で搬出されたことによる。

うちわり(内割り)
・すでにある原料の総計を100として、そのなかの割合を見るもの。

ウバメガシばい(ウバメガシ灰)
・ブナ科の常緑小高木、ウバメガシの灰。ウバメガシの炭である備長炭は、火力が強く
 料理に用いられる。

うわえしょうせい(上絵焼成)
・上絵を施したのちに行われる、700~900℃程度の焼成のこと。金・銀彩のあとの焼成も含まれる。

うわえつけ(上絵付け)
・本焼きしたのちに、赤、黄、緑、紫などの上絵の具で文様を描き、再び低火度で焼くこと。

うわえのぐ(上絵の具)
・本焼後に、釉の上から上絵付けに用いる絵の具。酸化金属や顔料にフリットなどの溶媒剤を
 調合してあり、低い温度で熔ける。


えがらつ(絵唐津)
・唐津焼の一種。鉄絵が施され、土灰と長石の混ざった釉を生掛けし焼かれたもの。

えちぜん(越前)
・平安時代末期の12世紀後半より、福井県丹生郡越前町を中心として焼かれた焼締陶。
 壷などには、肩にヘラ描きによる窯印がある。

おうど(黄土)
・含鉄土石の一種で、鉄分を多くふくんだ黄色い土。

おおかま(大窯)
・窖窯の次の時代に築かれ、窖窯を地上にきずいたもの。

おにいた(鬼板)
・褐鉄鉱の一種や、土の鉄分が流れて固まったものなどをいう。水で溶かしたものが、
 志野や織部などの鉄絵として用いられる。


おふけ(御深井)
・尾張徳川家の御用窯。祖母懐という緻密な土と、透明感のある灰釉が特徴。美濃の窯では、
 織部のあと現れた灰釉をいう。


オブジェ(objet)
・器など使われることを目的とした焼物に対して、純粋な造形のみの焼物を指す。

おりべ(織部)
・桃山時代の茶人・吉田織部。もしくは織部の好みにより焼かれ始めたともいわれる美濃の陶器。
 色釉、文様、形部、鳴海織部、黒織部などがある。


おりべゆう(織部釉)
・呈色剤に銅を用いた、高火度焼成により緑に発色する釉。酸化でも、還元でもよい。

「かきくけこ」

がいろめねんど(蛙目粘土)
・花崗岩類の岩石が、風化して推積したもの。長石が風化したカオリンを主成分とする土のなかに、
 小さな石英の粒子が入った土。カエルの目のように見えるところから名称がつけられた。


カオリン(kaolin)
・磁器の原料になる土のこと。長石の結晶体が風化分解してできる。耐火性、可塑性をもつ。

かさま(笠間)
・茨城県笠間市で焼かれている陶磁器。安永年間(1772~81)に、久野半右衛門が信楽の陶工・
 長右衛門を招いて開窯した。のちに藩窯となり、土瓶や甕、壷などの日常雑器を主につくってきた。


カットグラス(cut glass)
・ガラスの素地表面をグラインダーなどで切り出し、模様を出す技法。切子(きりこ)ともいう。

かまどちょうせき(釜戸長石)
・岐阜県瑞浪市で採れるアプライト系の長石。福島長石に比べるとシリカが多く含まれるため、
 やや溶けにくい。


かめいた(カメ板)
・ロクロの上に置く小板のこと。大きな作品の成形後、板ごと移動しそのまま乾燥させることができる。
 正方形の四角を切り落としたものが一般的だが、丸板とよばれる円形のものもある。


からつ(唐津)
・佐賀県西部から長崎県北部で焼かれた朝鮮系の陶器、もしくは、
 それから焼かれた地域。1580年代に、岸岳周辺の窯で始まり、班唐津、灰釉、奥高麗(おくごうらい)
 絵唐津、朝鮮唐津など、釉も器形も多彩なものがつくられた。


かんげんしょうせい(還元焼成)
・炭素が多く、酸素が欠乏している不完全燃焼の炎で焼成すること。

がんてつどせき(含鉄土石)
・鉄を多く土や石。昔から窯場の周辺で採集される土や石が、釉の調合に利用されてきた。
 瀬戸・美農の鬼板、京都の加茂川石、島根の来待石(きまちいし)など。


きじ(素地)
・生地とも書く。やきものをつくる土を素地土、乾燥し焼く前のものを生素地、素焼きしたものを
 素焼き素地と呼ぶ。


きせと(黄瀬戸)
・桃山時代に美農で焼かれた黄色の陶器。灰釉が基本だが、徴量の鉄を入れることもある。
 鉄や胆礬と呼ばれる銅で、茶と緑の斑紋を散らしたものが多い。


きぶしねんど(木節粘土)
・亜炭を含む、カオリン質で可塑性の高い土。水簸して用いる。

きょうやき(京焼)
・京都で焼かれた、近世以降の陶磁器の総称。野々村仁清が開窯したのが始まりで、
 以降さまざまな技法により茶陶から日常雑器までつくられている。

くたに(九谷)
・石川県金沢市、小松市、加賀市周辺で焼かれる磁器。起源は江戸時代初期の17世紀半ばで、
 その後廃絶。19世紀初めに再興された。


クリスト(Christo)
・1935年~。美術家。鳥や湾、峡谷などの巨大な自然物、公共の建物や記念碑などを、
 布で梱包するなどの作品で知られる。


くろらく(黒楽)
・長次郎が利休の求めにより始めたといわれる、黒色不透明の釉を掛けた楽焼。小型の窯でフイゴをつ けて炭火で焼き、窯から引き出してすぐに水に浸し、黒の色調と楽焼のもつ柔らかさを出す。

グワッシュ(gouache)
・水溶性のアラビアゴムを媒材として、顔料を混和した不透明水彩絵の具。
 また、用いて描いた絵をいう。


けいさ(珪砂)
・主に珪石からなる砂のこと。花崗岩が風化して砂状になったものもいう。

けいさん(珪酸)
・地核を構成している土石の主成分。釉の主原料となるが、単独では熔けにくい。
 シリカのことを指す場合もある。


けいせき
(珪石)
・地核の30%を占める、珪酸質の岩石。釉では、ガラス質をつくる主成分として用いられる。
 石英を主体とするもの。


こうごう
(香合)
・茶道具の一種。香料を入れるための、蓋つきの器。

こくゆう
(黒釉)
・鉄分の多い釉で、還元焔でも酸化焔でも黒く発色する。

ごけぞこ(碁笥底)
・高台の形状の一種で、平たい底を内側に向けてなだらかに彫り込んだもの。碁石を入れる器の底と似 ていることからこう呼ばれる。

ごす(呉須)
・染付の絵の具の原料。天然のコバルト化合物を主成分とし、上に透明釉を掛け還元焼成すると藍青 
 色になる。鉛釉に加え、上絵の具の青としても用いられる。

こせと(古瀬戸)
・日本で唯一の施釉陶器の生産地であった瀬戸で、鎌倉・室町時代につくられた陶器を指す。
 灰釉と鉄釉の2種類がある。


こつがき(骨描き)
・絵付けで広い面積を塗る濃みの場合、その前に行う線描きを呼ぶ。

ごとまきつち(五斗蒔土)
・現在の岐阜県土岐市北西にある、五斗蒔という地名の場所から採れる土。
 美濃陶、特に織部によく使われる。粒子の大小、鉄分の多い少ないなど、
 同じ山でも種類が多い。

「さしすせそ」

さや(匣鉢)
・焼成する際に、降灰などから器物を保護するために入れる、耐火土でつくられた容器。

さらやつち
(皿屋土)

・唐津焼発祥の地、岸岳(佐賀県唐津市)周辺で採れる土。
 鉄分は少ないが、砂気が多く耐火度が高 い。「皿屋」は、窯場のこと。

さんかしょうせい(酸化焼成)
・十分な酸素により、完全燃焼している炎で焼成する事。

さんごうゆう(3号釉)
・長石に、陶土や珪酸分、そして石灰石を調合した石灰透明釉の代表的なもの。
 熔解温度はSK7番(1230度)

サンドブラスト(sand blast)
・ガラスややきものの素地の表面に、図案をテープなどでマスキングし、その上から特殊な細かい砂を  高圧で吹き付けて凸凹の模様を出す技法。砂吹きともういう。

しがらき(信楽)
・滋賀県甲賀市一帯で焼かれる焼締陶。13世紀末から14世紀初頭に始まったとされる。
 明るい赤色の焦げとそこに吹き出す白い長石・珪石粒、透明化のある自然釉が特徴。

しぜんばい(自然灰)
・焼成の前に釉を掛けていなくても、窯のなかで燃料の薪などの灰が降りかかったものが、
 ガラス化したものをいう。自然釉。

したえつけ(下絵付け)
・釉を掛ける前の素地に、下絵の具で絵柄を書く事。
 このあとに、透明釉を掛けて焼成し絵柄を浮かび上がらせる。

シッタ
・ロクロでの、仕上げの削りに土台として使用する小円筒。
 ロクロ上に固定して、器を伏せたりして使用する。それ自体もロクロで成形し、乾燥させる。

シッピキ
・ロクロ形成ののちに、器物をロクロから切り離すために用いる道具。一般には「切り糸」と呼ばれるが、 そのなかでもシッピキは、片方にだけ木製の柄がついたものをいう。

じど(磁土)
・磁器をつくる際、成形をしやすくするために陶石などを細かく砕いた状態のもの。

しの(志野)
・桃山時代に美濃で焼かれた、粗いもぐさ土に長石釉を施した乳白色の陶器。
 釉の下に鬼板などを全面に掛けた鼠志野、ほかに練り込み志野、紅志野など種類も多い。

シャモット
(chamotte)

・耐火性の高い土(木節粘土など)を一度焼成し、細かく粉砕したもの。
 これを土に混ぜると、急熱急冷に強くなる。

じょうもんどき(縄文土器)
・縄文時代につくられた、世界最古といわれる土器。1万2000年前より、約1万年のあいだつくられた。
 この名は表面の縄目の文様によるが、ほかにも多種の装飾方法が施されている。

しょんずい(祥瑞)
・古久谷様式の色絵磁器に見られる絵付けの一つ。染付で、丸文や唐草文、幾何学文様に、中国絵画
 の図用を組み合わせて描かれる。中国・明時代末の崇禎年間(1627~44)に、日本からの注文によ
 り景徳鎮窯でつくられた洋瑞と呼ばれる染付磁器の様式をモデルとしている。

しらはぎ(白萩)
・萩焼に用いられる釉の、萩以外での呼び名。ワラ灰を主成分とし、長石などを加えたもの。

しろげしょう(白化粧)
・焼き上がりを白く見せるため、釉を掛ける前にカオリンなどを主とした白化粧土を、素地の表面に掛け たり塗ったりすること。

すいひ(水簸)
・水に入れて撹拌し、土の場合は精粗を分別、灰の場合はあくを取り除く作業をいう。

ステラ(Stella)
・1936年~。アメリカの画家、彫刻家。多角形の「シェイプト・キャンバス」シリーズや、有機的形態を織  り込んだ色彩豊かなレリーフなどが知られる。

ずぶがけ(ずぶ掛け)
・釉を掛ける方法の一つ。柄杓を使わないで、釉の入った容器に器胎をそのまま浸す。

すやき(素焼き)
・成形した生素地を乾燥させ、釉を掛けないで低い温度で焼く事。

せいじ(青磁)
・素地と釉のなかに含まれる鉄分が、還元焼成によって第二酸化鉄に変化することで青く発色したもの 。

せいはくじ(青白磁)
・白磁の一種。中国の宋・元時代に景徳鎮窯で焼かれ始めた、青みを帯びた白磁のこと。
 鉄分を含んだ透明釉が、印刻の部分で青く見えることから影青(いんちん)とも呼ばれた。

せっかいとうめいゆう(石灰透明釉)
・石灰釉ともいう。長石や陶石を基本原料とし、熔媒材として石灰を使った釉。
 染付の透明釉として多く使われる。

せと(瀬戸)
・陶磁器の総称、もしくは愛知県瀬戸市の事。また、瀬戸を中心として焼かれた陶磁器の総称。
 猿投窯の流れを汲み、鎌倉時代には日本で唯一、高級施釉陶器の生産地として栄えた。

せとぐろ
(瀬戸黒)

・桃山時代に美濃でつくられた黒色の茶碗。重心低い切り立ち形が多い。黒い色を出すために、
 焼成中の窯から引き出した。

そうおりべ(総織部)
・織部焼きの一種。器全体、もしくは大半を織部釉で覆ったもの。

ぞうがん(象嵌)
・装飾技法の一種。素地に押印などで模様をつけ、素地とは異なる色の土を塗り込めたもの。

そとわり(外割り)
・内割にt対する言葉。すでにある原料の総計を100として、そこにこれから加えるものを100分率で表す こと。

そぼかいつち(祖母懐土)
・愛知県瀬戸市祖母懐町で産出されていた、きめの細かい土。主に、茶入れや茶壷に使われた。

そめつけ(染付)
・白地の素地に呉須(酸化コバルト)で絵付けし、その上に釉を掛け焼成したもの。
 中国では青花(せいか)という。

「たちつてと」

たかむらこうたろう(高村光太郎)
・1883~1956年。詩人、彫刻家。『道程』『智惠子抄』などの詩集を著したほか、美術評論でも活用した 。彫刻作品は「手」などが知られる。

たたき(叩き)
・紐積みにした素地土を、板などで叩き締めながら形をつくる成形方。

たたみつき(畳つき)
・茶入りや水指の底の畳に当たる部分を指す。盆付とも呼ぶ。
 現在は、器物の底の部分の総称になっている。

タタラ
・板状の土のこと。もしくは、陶土を板状や帯状にしてから成形したもの。

たまづくり
(玉づくり)
・いっこびき

だみ(濃み)

・素地に絵付けをする場合、線描き(骨描き)したのち、筆に含ませた呉須を溜め塗りすること。
 こつがき

たんかしょうせい(炭化焼成)
・1000℃を超える高火度のもとで燻(くす)べ焼きして不完全燃焼させ、窯中を炭素で包み素地に
 炭素を吸着させ、固く焼き込むこと。燻(いぶ)し焼のこと。

たんば(丹波)
・中世より、兵庫県篠山市立杭周辺で焼かれている焼締陶。もしくは、その地域名。赤い地肌に苔生
 した深緑の自然釉が掛かるのが特色。江戸時代には、施釉陶もつくられた。

ダンパー(damper
・窯の焼成室と煙道のあいだに設けられた、空気を遮断する板。開閉して空気の流れを調節し、窯内
 の状態を変える。

チャイナペインティング(china painting)
・白磁の洋食器に、上絵付けすること。ポーセリペインティングともいう。

ちょうせき(長石)
・カリウムとナトリウムを主成分とする珪酸塩鉱物。ほとんどの岩石に含まれる重要な造岩鉱物。
 土に含まれている場合は融点を下げ、ガラス質になり、まわりを溶かし込んで「つなぎ」の役割を
 果たす。釉の場合は、灰と合わせて基本の釉に、また長石単味で志野釉となる。

ちょうせきゆう(長石釉)
・長石を主成分とし、珪石、カオリンなどを加えて、成分を補足した釉。約1.200℃の焼成温度で、
 白色の多泡性ガラスになる。志野は、その代表的なやきもの。

ちょうせんがらつ(朝鮮唐津)
・唐津焼の一種。桃山時代から江戸時代初期に、伊万里市の藤の川内窯(ふじのかわちょう)を
 中心につくられ、上部にワラ灰などの白濁釉を、下部に鬼板などの鉄釉を掛け分けている。

ちょくえんしき(直焔式)
・倒焔式に対する言葉で、炎が屈折せずに、そのまま抜ける窯の様式をいう。

てしおざら(手塩皿)
・塩を盛りつけるものとして使われたが、お膳につけるための小皿の総称。

てつえ(鉄絵)
・下絵付けの一つで、酸化第二鉄や鬼板、黒浜(くろはま)などの鉄分を多く含んだ絵の具で絵付けを
 したもの。焼成後、茶色や黒色になる。

てつゆう(鉄釉)
・鉄分を呈色剤とする釉の総称。青、緑、茶、黒に発色する。

てんもくゆう(天目釉)
・天目茶碗に用いられる黒褐色や茶褐色の鉄釉のこと。釉のなかの鉄やマンガンなどが発色し、
 温度や冷え方によって、油滴、曜変、禾目(のぎめ)などの釉調となる。

とうめいゆう(透明釉)
・1.300℃前後の焼成により透明になる、灰に長石や珪石、カオリンなどを混ぜた釉。また、
 鉛を使った低火度のものもある。

とこなめ(常滑)
・愛知県知多半島の常滑市周辺で、平安時代後期よりつくられた焼締陶。土は締まり、
 濃緑の自然釉が流れる。

トチン
・土とちなどとも呼ばれる窯道具。焼成時に作品を重ねて置く場合、釉が溶けて作品同士や棚板を
 くっつけないため、土で焼台などをつくり、作品のあいだに挟んだり、棚板から浮かせたりする。

どばい(土灰)
・雑木の灰の総称。あく抜きののち、水簸して使用する。かつては、かまどなどで焼かれた雑木が
 灰になったものを用いていた。

どべ
・土と水を混ぜた、濃度の高い液状の土のこと。

とみもとけんきち(富本憲吉)
・1886~1963年。陶芸家。工芸意匠で新境地を開拓し、染付や赤絵、金彩に優れた作品を残した。
 「色絵磁器」で、国の重要無形文化財保持者に認定された。

ともつち(共土)
・「同じ土}を意味する言葉。成形の際、作品を支える台などを作品と同じ土でつくったり、釉をつくる際、
 胎となっている土を入れるときなどに使う。

「なにぬねの」

なまがげ(生掛け)
・素焼きを行わないで、成形ののち、日陰干しだけで釉を掛け、焼成すること。

ねずみしの(鼠志野)
・志野の一種。全面に鬼板などの泥漿を掛け、ヘラなどで掻き落としながら模様を描く。その上に
 長石釉を掛けて焼成すると、鼠色の器面に掻き落とした模様が白く浮かび上がる。

ねりこみ(練り込み)
・色や肌合いが異なる2種類以上の土を、混ぜることなく練り合わせてつくる技法。

のぼりがま(登窯)
・傾斜面を利用し、複数の長方形の焼成室がしだいに登っていくように築かれた窯。割竹式と連房式
 がある。16世紀末頃、朝鮮半島から伝わったと考えられており、以後全国に広まった。

「はひふへほ」

はいかぶり(灰被り)
・窖窯や大窯で、焼成中に薪の灰が製品に掛かり、それがガラス化して一つの見どころになった箇所を
 いう。

はいだて(灰立て)
・長石や陶石を基本原料とし、熔媒剤として木灰(土灰)を使った釉。

はいゆう(灰釉)
・「かいゆう」とも読む。木やワラの灰を原料とした、最も基本的な高火度釉。

はさみ(波佐見)
・長崎県東彼杵郡(ひがしそのぎぐん)波佐見町周辺のこと。またそこでつきられている磁器。有田町に
 隣接し、有田焼きの主要な生産地。16世紀末の唐津系の陶器の生産に始まるが、のちに陶石の
 発見により磁器が中心となった。

ピーター・ヴォーコス(Peter Voulkos)
・1924~2002年。アメリカの陶芸家。用途を求めないやきもの(クレイ・ワーク)や抽象表現主義など、
 1950年代、60年代のアメリカ陶芸を革新し、その運動の中心的存在であった。

ひいろ(緋色)
・器胎に含まれる鉄分が発色し、釉の掛かっていない部分に現れる赤や茶色の斑紋。

びぜん(備前)
・岡山県備前市周辺で、12世紀より焼かれている無釉の焼締陶。鎌倉・室町時代には、壷、甕、擂鉢
 で、室町時代後期から江戸時代にかけては茶陶でその名を知られた。

ひらつちょうせき(平津長石)
・滋賀県大津町で採れるアプライト長石の典型的なもの。単味で志野釉となる。現在は、ほとんど
 採られていない。

フリット(frit)
・有害な鉛などを多く配合する釉を、いったん窯にいれて熔かし、ガラス状にしたもの。あらかじめ
 化学反応させているので、原料がよく混ざっており、低温でよく熔ける。釉や上絵の具を低温で
 熔けやすくするため、混ぜて用いられる。

ふるたおりべ(古田織部)
・1544~1615年。桃山時代の武将、茶人。徳川秀忠や遠州の茶の指導にあたり、利休亡き後の茶の
 湯の世界の中心人物であった。織部焼も、彼の好みによるといわれている。

ベンガラ(bengala)
・紅柄、弁柄、紅殻とも書く。酸化第二鉄を主成分とし、上絵付けのあかいろの顔料、および鉄絵の具
 として用いられる。

ぼうびき(棒挽き)
・数挽きともいう。土の大きな塊りをロクロに据えて、そこからいくつもの器を挽く成形方法。

ポップ・アート(Pop Art)
ポピュラー・アート(大衆芸術)に由来する言葉で、1960年代にアメリカ・ニューウヨークを中心に
 興った美術の一傾向。新聞漫画、商業デザイン、テレビなど、大衆社会のマスメディアのイメージを
 積極的に作品の主題に取り上げた。

ポロック(Pollock)
・1912~56年。戦後のアメリカ現代美術の中心的画家。抽象表現主義、アクション・ペインティングの
 旗手。流動性の絵の具を、滴らせながら描く絵画技法「ドリッピング」の創始者。

ほんやき(本焼き)
・生掛けや素焼きののちに、掛ける釉を熔かし、素地を固めるために行う焼成。

「まみむめも」

ましこ(益子)
・栃木県芳賀郡益子町で焼かれる陶磁器、もしくは窯ば名。嘉永6年(1853)、笠間で陶技を学んだ
 大塚啓三朗が開窯。褐色の鉄釉による甕や擂鉢などが中心で、大正13年(1924)より濱田庄司が  定住し、その名を高めた。

マスキング(MASKING)
・釉掛け、絵付けなどの加飾の際、白く抜きたい部分をあらかじめ覆うこと。ゴム、ロウ、テープ、型紙
 などさまざまな道具が使用される。

まだらがらつ(斑唐津)
・唐津焼の一種。ワラ灰やモミガラ灰を使った失透性の白濁釉が、むらになって灰色や青みを帯びて発 色したもの。

みこみ(見込み)
・茶碗などの内部の底のあたりのこと。

みの(美濃)
・岐阜県多治見市から土岐市周辺で産する陶磁器の総称。13世紀に量産が進む瀬戸が拡大し、美濃 まで広がった。16世紀後半には、独自に黄瀬戸、瀬戸黒、志野、織部をつくり出した。

みんげい(民芸)
・柳宗税が提唱した言葉で、民衆的工芸の略。用に即した美を、民衆の生活のなかに見出すという、工 芸に対する思想をいう。

むこうづけ(向付)
・食器の一種。膳の上で向こう側に置かれることから、その名がついた。小鉢や小皿がこれに当たる。

もぐさつち(もぐさ土)
・美濃地方で採れる土。木節粘土と珪砂分が分離して混入し、粒子が粗く、焼き上がりにざんぐりとした
 風合いが得られる。黄瀬戸、瀬戸黒、志野などの桃山陶が焼かれた。

ももやまとう(桃山陶)
・美濃の黄瀬戸、瀬戸黒、志野、織部や唐津、備前など、京や大阪の茶人たちに好まれた、
 桃山時代につくられた日本のやきものの総称。

「やゆよ」

やきしめ(焼締)
・素地を成形したのち、無釉のまま窯で焼成すること。もしくは常滑や備前など、焼締まった
 やきもののこと。

やはずぐち(矢筈口)
・水差などの形状を表す言葉。矢の上端の弦を受ける箇所を矢筈といい、そのような凹形の口をしたも のをいう。

ようへん(窯変)
・焼成の際に、窯のなかで予期せぬ火焔の変化や灰が降り、思わぬ釉相が現れること。

「らりるれろ」

らくぢゃわん(楽茶碗)
・茶の席で使われる、楽焼の茶碗。樂家の初代・長次郎がつくり始めた。

らくやき(楽焼)
手づくねで成形し、800~1000℃の低火度の焼成で胎から発色すると赤楽と、高火度で焼成し、途中で引き出す黒楽がある。または、初代長次郎に始まる京都の樂家代々の作(本窯)と、その系譜を引く一族や弟子の作(脇窯)の総称。

ランドアート(land art)
・1960年代後半、アメリカおよびイギリスに起こった美術の動向。砂漠、山岳、海辺など広大な土地を  掘ったり、線を刻んだり、そしてそれを写真に収めたりする表現。アースアート、アースワークなどとも  呼ばれる。

ロスコ(Rothko)
・1903~70年。ロシア出身で、戦後アメリカ現代美術を代表する画家。シュルレアリスムの影響を受け たのち、抽象表現主義へと至る。にじんだような色面を配列した絵画作品や正方形を駆使した絵画作 品などで知られる。

「わをん」

わらばい(ワラ灰)
・稲のワラを主な原料とする灰。珪酸分が多く、不透明な白濁釉となる。白萩や朝鮮唐津の釉に用いら れる。

わんなり(椀形)
・木の椀の形に由来し、腰が丸く立ち上がった形状をいう。

                          
                          


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